In summary – A briefing on our main features in Japanese

カーニー首相訪日と誕生日

ケーキに込められたメッセージ

カナダのマーク・カーニー首相は36日から7日にかけて日本を訪問したが、滞在は24時間未満で公開行事もほとんどなく、その詳細はあまり報じられていない。しかし、その中で印象的だったのは、高市早苗首相の65歳の誕生日を祝うために贈られた特別なケーキである。

ケーキはカナダ産メープルを使ったマスカルポーネクリーム、日本の桜をイメージしたスポンジ、そしてカナダ産クランベリーシロップで作られたもので、カナダ・ジャパン・メープルスイーツコンテストの優勝シェフ野口ゆきえ氏が手がけた。カナダの素材と日本の職人技を組み合わせたこのケーキは、両国の協力関係を象徴する贈り物でもあった。

首脳同士の贈り物は、しばしば自国を誇示する豪華な品になりがちだが、このケーキは高市首相の誕生日という個人的な節目に寄り添う形で用意された点が特徴的である。まさに両国が共に価値を生み出す関係であることを象徴するものでもあり、意義深い外交の一場面となった。

日本で存在感を高めるカナダ発AI企業 ― OpenText

イアン・マッケイ駐日カナダ大使の「OpenTextという企業を知っているか」という一言をきっかけに、CCCJは同社の動向を取材することになった。ちょうど締切直前の 226日、東京のホテルで「OpenText Tokyo Summit」が開催され、ジェームズ・マクガーレイCEOへのインタビューの機会も得られた。

OpenTextはオンタリオ州ウォータールーに本拠を置くソフトウェア企業である。ウォータールーはブラックベリーなど多くのテクノロジー 企業を生み出してきた地域として知られる。同社は1991年、ウォータールー大学とオックスフォード英語辞典の共同プロジェクトから誕生した検索技術を基盤として発展し、現在では世界180カ国以上で12万社以上の顧客を持つ企業へと成長した。従業員は約 2万3千人にのぼる。 

同社の特徴は、企業や政府組織が扱う膨大な情報を整理し、必要な場所で迅速に利用できるようにする「コンテンツ管理」にある。Word文書のような人間が作成するデータから、サプライチェーンや金融取引などの機械間データまで、組織内の情報を文脈とともに管理し、価値へと変換することを目的としている。

この分野はAI時代において重要性を増している。AIは膨大なデータを処理する技術だが、質の低いデータは誤った結果を生む。OpenTextの幹部は「コンテンツこそ新しい金」であり、AIの発展には整理された高品質の データ基盤が不可欠だと強調する。また各国で関心が高まる「デジタル主権」の観点からも、安全で信頼できるデータ管理の重要性が指摘された。

OpenText1997年に日本法人を設立し、日本市場への投資を続けてきた。現在、日本には300人以上のスタッフがおり、120のパートナー企業、約2500社の顧客を持つ。東京サミットには500人以上が参加し、日本企業の関心の高さがうかがえた。

同社幹部は、日本企業がAIを活用し競争力を高めるためには、まずデータの品質と管理体制を整えることが不可欠だと指摘する。カナダ企業であるOpenTextは、中立的で信頼性の高いパートナーとして、日本企業のデジタル化とAI導入を支える存在となりつつある。

神永晉氏 ― 航空宇宙分野で加日を結ぶビジネスリーダー

CCCJの名誉顧問会は、長年にわたりビジネスや公的分野で活躍してきた日本の有識者で構成されている。その一人が、航空宇宙産業で国際的に活躍してきた神永晉氏である。

福島県出身の神永氏は1969年に東京大学工学部機械工学科を卒業し、住友精密工業株式会社(SPP)に入社した。航空宇宙機器や産業機器を手がける同社で国際事業に携わり、西ドイツ・デュッセルドルフなど海外拠点でも勤務した後、グローバル事業開発を担当するようになった。

神永氏とカナダとの関係は、パルプ産業向け技術の商談でモントリオールを訪れたことから始まる。その後、SPPはボンバルディア社のジェット機CRJの着陸装置供給契約を締結し、長期的な事業展開のためトロント近郊ミシサガに製造拠点を設立した。このプロジェクトを通じて、神永氏はカナダ政府関係者や産業界の多くの人々と交流を深めたという。

神永氏は、カナダ社会の特徴として、多様な移民を受け入れながらも強い共同体意識を築いている点に感銘を受けたと語る。また、CCCJの魅力については、社会的地位や企業の階層に関係なく、温かい雰囲気の中でビジネスの議論ができる点にあると指摘する。こうした人と人とのつながりこそが、CCCJ強みであり、今後の活動においても重要な役割を果たすだろう。

医師への道 ― 日本とカナダの医学教育制度

CCCJ学術会員であり、小児救急医でもある野村 理 氏(現在モントリオールのマギル大学で研究に従事)は、日本とカナダの医学教育制度の違いを紹介する。日本とカナダでは、医学部に進むまでの道筋が大きく異なる。日本では高校卒業後すぐに医学部へ進学し、6年間の医学教育を経て医師となる。一方カナダでは、まず大学で学び、通常は学士号を取得した後に医学部へ進む段階的な制度が採られている。

日本の医学教育は全国共通のモデル・コア・カリキュラムに基づき、比較的統一された教育体系のもとで行われる。また医師不足地域への配置を目的とした「地域枠」制度も導入されている。

一方カナダでは、医学部ごとに入学基準や教育制度が異なり、成績に加えて面接、適性試験、推薦状、課外活動など多面的な評価が行われる。こうした制度により、他分野の学びや社会経験を経て医学を志す人材にも門戸が開かれている。

日本は高校卒業後すぐに専門教育へ進む中央集権的な制度であるのに対し、カナダは大学教育を経て医学へ進む分散的な制度である。両国は異なる方法で医師を育成しているが、いずれも安全で質の高い医療を支える人材育成を目指している。

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