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Table Stakes〜なくてはならないもの〜(8ページ)
カナダの食品や農産物は、地球上のあらゆる場所に輸出されています。カナダ大使館の一等書記官アレックス・チェン(農務担当)によると、カナダにとって日本は3番目に大きな農水産物輸出市場であるとのこと。「2021年、農業・水産物製品は、カナダの対日輸出の約36%を占め、総額は前年比6.8%増の52億カナダドルでした。主な輸出品目は、キャノーラ16億ドル、豚肉13億ドル、小麦6.6億ドル、牛肉4.4億ドル、魚介類2.5億ドル、大豆2.4億ドルです。
「日本で植物油、麺類、パン、豆腐、味噌などを購入する場合、原材料がカナダ産である可能性は非常に高いのです」とチェンさんは続けます。「カナダからの輸出品には、受賞歴のあるワイン、クラフトビール、スピリッツなど、革新的な食品・飲料製品も含まれます。また、日本でもカナダ同様に、オーガニックや植物由来の肉や乳製品が人気を集めており、この分野の輸出も増えています」。
日本の消費者は目が肥えていることで知られ、在日カナダ大使館でチェンが率いる農産物貿易委員会サービスチームは、常にトレンドを把握し、カナダが提供する最高のものを日本に紹介できるよう、懸命に取り組んでいます。チェンは次のように指摘します。「カナダの食品は、品質、持続可能性、革新性を重視しています」。カナダはG7の中でも食料自給率が最低の日本が必要とする高品質な製品を供給できる、信頼にたる国です。「日本の食料安全保障を支援できることを誇りに思うとともに、国内輸入業者、メーカー、消費者からの信頼と信用に感謝します」。とチェン氏。両国のパートナーシップは食品以外の製品にも及んでいます。例としてロボット工学、精密農業、細胞農業などの農業技術です。「カナダと日本は、第一次産業労働力の高齢化が進んでおり、より持続可能な農業システムを構築するために懸命に取り組んでおり、共同研究やイノベーションの機会を創出します。」
メープルリーフフーズ(以下メープルリーフ社)は、カナダの企業として豚肉業界で初めて日本支社を設立した会社として知られています。メープルリーフ社の前身、カナダパッカーズ社が1970年代前半に日本へ冷凍豚肉と牛肉の輸出を開始し、1975年に日本支社を開設しました。それから約20年後の1997年、台湾で口蹄疫が大発生し(その後すぐに韓国でも発生)、日本市場の豚肉供給事情が激変したのを契機に、米国とカナダは急速にチルド豚肉の主要サプライヤーとしての地位を確立。1998年、メープルリーフ社はアルバータ州レスブリッジに日本市場向け専用工場を開設しました。翌年には、マニトバ州ブランドンに日産9万頭規模の工場を開設しました。トロントに本社を置くメープルリーフ社は、豚肉市場における主要な存在であり、その規模はますます大きくなっています。実際、日本におけるカナダのチルド豚肉市場全体のシェアは、過去20年間でおよそ5,000トン/月から15,000トン/月と3倍近くになっています。「チルドは食卓用肉として、全国のスーパーマーケットに並びます。冷凍はとんかつ屋等の外食産業や加工品メーカーに行き、ハム・ソーセージ・ベーコンの原料になるます。”カナダ産 “と書いていなくても、当社の豚肉は加工肉として日本の食卓の一部となっています。」と、メープルリーフ社の平本宗也シニアセールスマネージャーは言います。平本氏によると、メープルリーフ社は以前から、2015年に国連が策定した「持続可能な開発目標(SDGs)」を強力に意識しているそうです。「実はメープルリーフ社はカナダの食品業界初のカーボンニュートラル企業なんです。地球上で最も持続可能な企業になる、というのが、私たちの会社のミッションです。ほかにも日本ではまだ馴染みのないアニマルケアにも積極的に取り組んでいます。抗生剤不使用飼養もその一環で、アニマルケアのパイオニアカンパニーとして、業界をリードすることは、私たちのミッションです。」
パンデミックや口蹄疫のような病気の流行は、消費者のみならず飲食料の生産・販売に携わる者は当然ながら不安にさせます。食品輸送や生産工場での加工・包装も同様です。そこでイントラロックス社は、食品加工業者により高い処理能力、より良い衛生管理、より長いベルトと機器の持続力を持つ、自動最適化された生産ラインを提供しています。ネスレカナダ、フルーリーミションアメリカ、そして日本の商社での勤務経験がある、イントラロックス社のマーク・ボルデュック氏は、「イントラロックスは、食品業界を含む様々な業界向けのベルトコンベアやサポート機器、ソリューションの製造における世界的リーダーです。日本の大手食品加工メーカーを訪問すれば、必ずと言っていいほど当社の製品が使われているのを目にするはずです。」と言います。イントラロックス社はアメリカのルイジアナ州に本社がありますが、味の素、ニチレイ、カルビー、日本ハム、マッケインフーズ、メープルリーフフーズ、オリメルといったカナダや日本の食品会社のグローバル製造拠点と強い結びつきをもっています。ボルデュック氏はさらに日本の食品メーカーが直面している問題として労働力不足、燃油や原材料価格の高騰を挙げ、「SDGsを考慮した技術革新は今後の鍵となるでしょう」と指摘します。
カナダ農務省は、カナダ企業の日本進出を支援し、日本の輸入・加工業者、食品メーカーがカナダから高品質の原料や製品を調達できるよう、常によりよい方法を探っています。農産物貿易コミッショナー・サービス・チームは、3月初旬開催のFOODEX2023に個人や企業からなる総勢40以上の団体が来日するのを楽しみにしています。油、肉製品、魚介類、メープルや蜂蜜製品、果物や野菜、シリアル、栄養補助食品、スポーツ飲料やアルコール飲料、スナックや調味料などの生産者が来場者をお迎えします。機能性食品など健康志向の商品も出展予定です。その中から3点、注目してもらいたいのが①ハスカップ②NHL公認スポーツ飲料③様々な料理のアクセントになるバーベキューソースです。チェン氏によると、「今年3月、私たちは、新しいプロジェクトを立ち上げます。カナダ産食品の認知度と需要を高めるために、ターゲットを絞ったeコマースとデジタル・マーケティング・キャンペーンを行います。このキャンペーンは、『カナダフェア』と呼ばれる楽天市場の消費者向け店舗を中心に、1年間かけて展開されます。この店舗は3月に正式にオープンし、200点近いカナダの食品・飲料を扱う予定です。」これはカナダ企業にも、日本の食通たちにも朗報ですね。🍁
Broadening Our Reach〜領域の拡大〜(12ページ)ではカナダのインド太平洋戦略:①平和、レジリエンス、安全保障の推進②貿易・投資拡大とサプライチェーンのレジリエンス強化③人への投資と人のつながり創出④持続可能でグリーンな未来の構築⑤活動的で、積極的で、信頼できるインド太平洋のパートナーについて理事のナギー教授による寄稿です。
Prairie Powerhouse〜大草原の最強チーム〜(14ページ)ではサスカチュワン州にあるアイスホッケー強豪校ノートルダム寄宿学校と日本のアイスホッケー界との不思議な縁や歴史の記事です。
A Cool Head 〜冷静な判断力〜(18ページ)はグローバルな悪事を正すべく、世界中を飛び回る弁護士、森嶌昭夫先生の経歴とCCCJとの関係について。
A Far Cast〜遠投〜(22ページ)は、和歌山県のとある漁村とカナダの100年以上にわたる強い結びつきについて、理事のカール・ピレスの経験談も織り交ぜて紹介しています。🍁