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メイプルテック

 

カナダのテクノロジーは、製造業、ヘルスケア、メディア、IT、セキュリティ、エンターテインメントなど様々な分野に組み込まれ、日本のビジネスバックボーンに欠かせない要素になりつつあります。さらに、日本企業はこれらの技術ソリューションを提供する企業に投資し、提携しています。

 

日本は一般的に、洗練された産業用ロボットやオートメーション、スマートカー、新幹線、家電製品に代表される技術大国と認識されています。また、公共インフラの技術も優れており、見習うべきものがあります。太陽光発電、風力発電、燃料電池、地熱発電など、クリーンな電力を生み出す技術も注目されており、日本は2010年から2019年の間に、関連技術だけで9,394件の特許を出願しています。しかし、世界知的所有権機関(WIPO)によれば、2022年日本のグローバルイノベーション指数は132経済圏中13位、国際経営開発研究所の2022年版年次報告書によると、日本のデジタル競争力は63カ国中29位にとどまっています。こうした技術的な脆弱性を痛感している日本は、解決策を海外に求めています。

 

カナダ企業は、日本に技術情報を提供するために最善を尽くしています。彼らのソリューションは、ブランドの製品やサービスにシームレスに組み込まれ、水面下で仕事をすることが多いため、あなたが疑うことのない多くの分野で活躍しています(医療技術に焦点を当てたページ上の関連記事もご覧ください)。

 

バーチャルツイン、仮想世界

ダッソー・システムズが日本市場に参入したのは、1994年。ダッソー・システムズ株式会社代表取締役社長のフィリップ・ゴドブー氏は「ダッソー・システムズは当初は単なる研究開発会社で、日本IBMと組んで製造業向けのソフトウェアを開発していました。私たちの2番目の顧客は、実はホンダでした。今ではトヨタをはじめ、国内に16,000社以上の顧客を持ち、再販業者やサービスプロバイダーとして50社以上のパートナーとの幅広いネットワークがあり、顧客との連携などをサポートしています。」と話しています。

 

サステナビリティのスーパースター

ダッソーが磨いているもう一つの技術面は、日本における持続可能なスマートシティの構築と運営に関わるものです。日本は農地が少なく、海外からの食料輸入に大きく依存していることも、脆弱性の一つです。アグリテックスタートアップのPLANTX代表取締役社長山田耕資氏は、次のように述べています。「私たちの目標は、植物工場の潜在能力を活用することで、より美味しく、安全で健康的な食品を提供しながら、環境に優しく、持続可能で、気候変動に強い食品生産システムを実現することです。」

 

カナダ各州の卓越したソリューション

ブリティッシュ・コロンビア州政府在日事務所の駐日代表徳永陵氏によると、同州には日本向けのソリューションが充実しており、クリーンテック分野を始めとした日本企業との活発なコラボレーションもいくつかあります。2022年初頭、三井物産は、天然ガスに豊富に含まれるメタンからクリーンな水素を製造する次世代技術を開発するEKONA Power社に出資し、主に日本での水素製造に活用する事業展開を目指しています。

 

ケベック州にもサクセスストーリーがあると、州政府在日事務所代表であるシェニエ・ラ・サール氏は話します。「CAEヘルスケアのシミュレーションを用いた医療教育(医療、臨床能力、患者の安全性を向上させる)からスマートピクセルの不動産デジタルツインまで、多くのケベック企業がデジタル領域で日本を支援する準備ができています。」

 

一方、サスカチュワン州の7shifts社は、レストラン経営者がより収益性の高い意思決定を行い、従業員維持率の向上、オペレーションを支えるためのツールを提供しており、2022年にソフトバンクからシリーズC投資で8000万ドルの資金を獲得しています。

 

重要なガイダンス

カナダ大使館や在日州政府事務所が提供する貴重な情報や知識のほかに、日本進出に役立つウェブサイトがあります。

 

そのひとつが、徳永陵氏がカナダ大使館の上席投資担当官時代に作った、カナダの研究力と価値提案をアピールする日本発のサイト(https://innovate-with-canada.com/)です。

 

「テクノロジー・デスティネーションとしてのカナダは探すのが大変だったので、カナダを技術と人材のデスティネーションとして検討した人々を誘導できるページが欲しかったのが、作ったきっかけです。」と徳永氏は話しています。「日本の研究所とカナダの研究機関との研究開発のコラボレーションに焦点を当てました。」

 

過去には、サイバーセキュリティやエンターテインメント技術、AI研究拠点など、カナダの専門性を紹介するサイトもありました。現在は、カナダ大使館のギャリー・リー氏と投資チームがこのサイトを管理しています。

 

一方、エドモントンの非営利団体「ディープテック・カナダ」は、「カナダを、最先端イノベーションへの共同アプローチによって、今日の最も差し迫ったグローバル課題に取り組むグローバルリーダーとして位置づける」という大胆なビジョンを掲げ、ウェブサイト(deeptechcanada.ca)を運営しています。この組織は、アグリテックと食品、気候変動対策とエネルギー、コミュニケーションとセキュリティ、健康と医療イノベーション、輸送と探査という5つのハイブリッド分野に焦点を当てています。

 

「直近では、2023年初めに、世界最大級の技術会議・展示会であるNanotech Japanにを貿易使節団を派遣し、富士フイルムオープンイノベーションハブ、昭和電工株式会社と昭和電工マテリアル株式会社が合併した新会社レゾナックへの訪問を含め、2016年から訪日しています。」と、ディープテック・カナダ エグゼクティブディレクターのジャニス・ワルケンティン氏は述べます。

 

「私たちは、インパクトのある機会を追求し、世界的なプロジェクトを開発し、さまざまな分野でカナダの政策を形成するための見識を提供しています。」とワルケンティン氏は付け加えます。「開発者、投資家、専門家からなる私たちの活動的なコミュニティは、世界中の豊富な専門知識と資源を活用し、産業の変換やグローバルな課題に対処できるソリューションを生み出しています。」

 

カナダには日本のニーズを満たす技術があることは明らかであり、上記のような資源や参入経路は、まだ国内には存在しないカナダのハイテク企業が太平洋を渡るのに拍車をかけることは間違いありません。

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